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[146896] 残暑でザンショ

詩人:どるとる


長かった気がする
夏もあっという間で
今年も夏は遠ざかっていく 挨拶もなにもないままに
そんな毎年のことなどを切なく思うのは僕にもいまだわからない
まあとにかく暑くて寝苦しかった夜
部屋には旧式の扇風機が一台
幸運なことに僕のアパートは日当たりが悪いので太陽の被害は直接には受けなかった受けなかった

だけれどそれにしても暑い暑い夏でした
すぐに喉もかわくしすぐに汗が吹きだす

でももう残暑でザンショ

窓を開ければもう早いものでね
秋の風の匂いが香しい
自転車の重いペダル必死に漕いで無駄に長い長い坂道のぼった そんな思い出ともいえないくだらないシーンさえ今ではほほえましいくらいの記憶さ

退屈で憂うつなだけの夜を癒やしてくれるのさ
そんな夏の小さなお話が
かわいた胸を潤してくれる

まあなんにしても残暑でザンショ

夏も終わり
やがて秋がくる
しっとりりとした
風の中で去年のようなことを繰り返す
でもね新鮮なサンマ食べるのが楽しみだよ
さみしさとうれしさが絶妙に混ざり合ってきれいな思いとなり僕のハートを包んだ


また会おうね 僕の夏よ
そんなおざなりなことしかいえなくてごめんね でもまた会いたい 暑いだけだと勘ぐっていた夏は大事な記憶この胸に刻んでくれたから
この思い出だけで晩酌のつまみはいらないね
イカより枝豆よりも美味い最高の珍妙
夏の思い出

残暑だよ残暑ザンショ
それでも最後の最後まで味わい尽くそう
この夏を
しばらくはお会いできないから
もう少しだけこの暑さを体中感じてからでもバイバイは遅くないから
8月の終わりの夕暮れ時 涼やかな風に吹かれみとれる夕暮れ
心までオレンジに染めて流れるように空に消えてく夏の思い出をひとつひとつかみしめていた

縁側で小さな肘掛け椅子に座りながら過ぎ去る夏を感じた。

2009/08/29 (Sat)
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