詩人:ナナエ
気がつくと
無の中にいたから
大きく息を吸って
大きく息を吐いてみた
何回も何回も無の中に
ふわふわ空気が存在した
誰もいなくて
何にもなくて
心細くて寂しくて
ぽろぽろ涙がこぼれてきた
何回も何回も無の中に
何もないところなのに
自分という人間が存在した
今は何もないけど
いつか空気は大気になって
いつかしょっぱい涙は海水になって
苔が生えて
草が生い茂って
気がつくと
もうここは無ではなくなってるかも
こうやって君が
いっぱい呼吸して叫んで
目が腫れても
ただひたすら泣いてるんだから
ここはもう
無の中じゃないのさ