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詩人:どるとる
繊細なわたくしの心を絶え間なく行き交う琴線をふるわす悲しみが琴線の一本一本を涙となり流れる
人は愚かに傷つくことも悲しむことにもいちいち理由をつけたがる
だから言葉にならない気持ちに出会ったときにたやすく言葉を無くすのだ
どこまでも広がる大きな海へは泳ぎ出せなくても小さな子ども用のビニールプールくらいの未来ならほら足をちょっとまえへ出せばいくらでも踏み出せる
用意された未来は無くても生活があれば誰でもたどり着く夢も何もない未来に今
立っている
我が物顔の大王がわたくしに言う
たとえどんなまやかしも美しければ迷いなく信じるのだろう?
今 僕の目に見えている全てはちゃんちゃらおかしいフィクション
なんだ作り物かとあざ笑うこの笑顔さえフィクション
ことのほか重大な謎が… そんな気持ちも全てフィクション
悲しいくらい
泣いちゃうくらい
全てはフィクション
やさしいフィクション
ただ それが 時に予想を裏切り不思議にもミステリアスにもなるってだけのフィクション
今 見ている全ては我々の節穴程度の力しかない目にもやさしいリアルなタッチでほら 見えている
目を閉じればいくらでも描ける夢や希望
それをしのぐ現実の鮮やかな色
それらは全て現実を際だたせる役割を果たしているに過ぎないのさ
そして人はすぐそこにある奇跡を見ようともせずに的はずれな場所ばかり探し
あげく なんだ なにもねえじゃねえかとほざくのさ
目を覆わんばかりの奇跡はすぐそこにあるのにね
人は底尽きない欲望に目が眩んでもはや輝くものしか見えなくなっている
さて、聞きましょう
あなたの目からは
何が見えていますか?
あなたが見逃しているそのありふれた毎日はあなたを確かに生かしてるのに
あなたは何をそれ以上欲すのか
わたくしには理解ができないのです
すぐそこにあるいくつもの奇跡を見捨てるその心も。