詩人:千波 一也
このゆびを
のぞんで降りたきみですか、
しずかな熱も
いそぎゆく風も
そのゆくすえは
つながってゆく気がして
荒れたくちびるを、恥じらう
ふゆです
やさしさは
なつかしさだとおもいます
つつまれてみたり
渡ったり途切れたり
いつか、
だれかの季節を告げるような
やさしさは
なつかしさだとおもいます
思い出せるさくらはいつも
ひんやり、ふわり
きみを
雪、と呼ぶことに
まだまだ不慣れなあおです、
ぼくは
ねぇ、姫君
肩幅のぶんだけ
つまずいてみせてもいいですか
髪と瞳と肌だけは
きめられたいろ
かくせぬ弱み
このゆびを
のぞんで降りたきみですか、
うちとけたなら
雪の香、はらり