詩人:どるとる
寒さに赤く腫れた耳
三番線のプラットホーム
言葉は持ち合わせがないから
ただ 手をつなぐだけだよ
答え合わせは いつまで続くのだろう
頼りない背中は 丸まったままだよ
遠い街へと 行くと決めた君が旅立つ日
止められなかったよ 君があまりにも素敵に見えたから
ため息で曇る 白い窓に 指で書いたさよなら
警笛が鳴って 発車する数秒前の永遠をかみしめた
君に送る手紙にはレシピを書いた
君が好きだった料理を
作れるように 下手くそな文字だから
読めるかどうかはわからないけど
本当は離れたくなんかない
しくしく寂しがる胸がそう言ってる
この街に桜が咲く頃には君も僕も今よりもう少し大人になって 気持ちを打ち明ける勇気持てるかな
あの日と同じ曜日 同じ時刻に待ち合わせた
来るかな 今か今かと君を乗せた電車を待っていた
久しぶりに会った君はすっかり
大人になっていてもう僕が知ってる
君じゃなかったけど
変わらないのは そのなつかしい声と仕種
うれしくなって 泣きたくなって
思わず君を 抱きしめた
透き通るほどの小雪混じりの空
あたりを白く 染めていた
ため息で曇る 白い窓に 指で書いたさよなら
警笛が鳴って 発車する数秒前の永遠をかみしめた
あの日のさよならも今では 懐かしい
出会った日のように ここからまた始まるよ
今日は新しい僕と君の旅立ちの日。