詩人:そほと
詩・曲 そほと
私の特別な人は
さくら湯に特別な想いがあるらしく
厳かにその作業を終えた
私の特別な人は
幼い私と妹を
お行儀良くちゃぶ台に座らせると
うやうやしく運んできた硝子の小瓶から一つまみ
湯に沈めた
無言で見入る私たちに満足すると
静かにその世界へと入って行った
湯の中で
私の特別な人は私の知らない少女で
うすいピンクの花びら
ゆらゆらくるり と
動いていました
この不思議な今の後には
いつものように
毛糸を編むこの人の背に寄り掛かって
見る絵本をどれにしようかと
考えている私でした
私の特別な人は
おかあさんと言います