詩人:千波 一也
わかり合えたら素敵だね
そういうことを
忘れずにいられたら
なお素敵
だね
途方もないことは難しくて
些細なことでも
難しい
分けることの意味について
だれか暗誦できるかい
身に余るものごとは
とめどないけれど
いさぎよい身で在りたいね
いつだって
いま、から順番に
うしなってしまうときの輪に
自嘲ではなく
あきらめでもなく
乗り継ぎ慣れた旅人だね
だれもが
同じく
「いつかどこかですれ違いましたね」
気のせいかも知れなくても
幾度も交わした言葉かも知れなくても
わかり合うために
はじめまして、と挨拶を
変わらないものと変わるもの
車窓はながれても
鼻歌にすべてを
あずけて
ときを味方に
羽ばたくために
はじめまして、と挨拶を