詩人:千波 一也
想いと
ことばは
まったくのべつもの
あまりにも似通っている、べつもの
うまれた想いを、
そのままことばに乗せられる、と
そんな気がしてしまう
ことばの背中に、
想いのすべてが乗っている、と
そんな気がしてしまう
けれどふたつは重ならない
重ねたくない
というわけではなくて
単純と呼ぶべきか
複雑と呼ぶべきかはわからない
ただ、
想いとことばは
重ならない
しかも、ときどき
わたりゆく手紙は
いろを持たない、いろ
それは
おもいでだけで描こうとする
虹のなないろ、
のような
わたりゆく手紙はひとひらのいたみ
時のきざみを嘆くのならば
文字のきざみも
わかるはず
ふれる、ということは
ふれられていること
与えるものと与えられるものとが名前
かぜの迷路には
しるし、があふれている