詩人:千波 一也
降りそそぐものは、波です
満ちてゆく潮風に
しおれることも
ときには
開花
白銀は、あこがれですか
うらがわですか
ゆるやかになきます
あの、下弦
背中をなぞることが窓、でした
やわらかな胸には
皐月のあやめ
あやめ、てからまり
さきほこる、つの
たつ、みさき
ゆくえを問う耳が
海鳥なのかも知れない、と
かごはねむります
揺れてねむります
色濃いゆめを光にかくして
牙をはじらう
鱗のよる、
みな、も欠けてはいませんか
降りそそぐものは、波です
あたらしく使い古すたびに
舟のきしみが透けてゆきます、
ね
音色はこども
いつまでも、こども
孤独にふれたなら
あふれてゆくのが涙です
迎えても
さらっても