詩人:中村真生子
海も空も山も灰色で風もなくなにもかもが眠っているような花曇りの日。庭に出るとかわいいあくび声が一つ。朝まで蕾だったチューリップが咲いていた。眠りから覚めた童のようにあどけない頬を桃色に染めて…。あらゆるものの眠りの中で生まれたチューリップよ。さあ、たくましく花開き仲間たちを目覚めさせよ。最初に目覚めたものの役割として。そして皆と庭に春の息吹をもたらせ。