詩人:千波 一也
たとえば空が
海から生まれたものだとしたら
鳥はおよぐものたちで
魚は羽ばたくものたちです
たとえば光が旅人ならば
わたしたちも、風
無理のない
ながれ
吹雪は
ゆめの国からの使い、です
ことばを閉ざされたくちびるには
けがれなき白、
ほら
思い出しませんか、
甘いクリームあるいは
シュガー
熱を取り巻くものは
いつも熱ですから
たやすく迷える
羊です、
みな
もしもあしたがまぼろしならば
おそらくきのうも同じです
いま、と
なぞった瞬間に
すべては過ぎ去ってしまっても
未だ来ない、
未だ来ていない誰かを信じて
待つ身はいかにも
ゆたか、です
たとえば鏡が逆さまだとして
星空を射る瞳は
直線
ともに
いくつもうたいませんか
足りないものを足りないままに
それでもせせらぐ
このときの
瀬に