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[190854] メトロ

詩人:どるとる


東京9時発の 列車に乗って宛もなく旅に出た
なんとなく仕事を連絡もなくずる休みした日

静かに降る銀色の雨が窓硝子に
人懐っこく 張りついてやがてすぐに滴り落ちてく

名前もわからない 知らない駅に着いた
とりあえず 喉を潤して 先ずは腹ごしらえだ

東京の暮らしにも なんとか慣れた頃

思い出したよ はじめてこの街に来た日のことを

東京に来てから何度目の春を迎えただろう

この街はあの頃から何も変わらないね

張り巡らされた路線 覚えきれない駅名
日に日に増える煙草 と吸い殻の山

求人雑誌とにらめっこしながら 探してた 僕の居場所を
でも簡単には見つからなかった

青と白の電車に揺られながら沈んでいく夕日に 涙を見せたくなくて背を向けた

ふとした瞬間、遠く離れた家族を思う時

たまらなくなって会いたくなってしまう 今夜も

好きな人が出来たよ まだ知り合って間もないけど

来月の休みには多分そっちに帰るよ

なんとなく 過ぎていくだけの日々を

窓に映る 花とか 建物とかを見るみたいに

他人事のように 投げ捨てるように 生きてたね

取り返さなきゃ今までの遅れを ちょっとずつでも

東京の暮らしにも なんとか慣れた頃

思い出したよ はじめてこの街に来た日のことを

東京に来てから何度目の春を迎えただろう

この街はあの頃から何も変わらないね

厳しく冷たいようで どこか僕が生まれた街にある 優しさを抱いてる。

2016/02/06 (Sat)
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