詩人:千波 一也
はるをいたみながら
ひとつ、指を折り
なつのまよいに
迷えないまま
指折りは、
ふたつ
みっつ、を数える指には
こころならずも
あきがなついて
ちからずく、のような
諭されているような
圧倒的なふゆが
指を折る、
よっつ
なすすべもなく
いつつめの指は折れ、
握りしめることの頼りなさは
今もなおここから近い
それゆえに
つぎの数をもとめるけれど
閉じられる指は
とうに無い
もともと
わかっていたことかも知れない
えがおの意味は
必ずしもひとつ、ではなく
過ぎ去る風に
なにかを
託す、
あかるい断崖
ここは六番目の季節
そっと
開かれてゆく
まもり、の季節