詩人:どるとる
気のすむまで僕を旅させておくれ
僕が夢を持ち帰るまで僕の帰りを待ってておくれ
かならずいつか夢を持ち帰るから
名前のない旅人はそう言って家を出た
本当は苦し紛れの言い訳だったんだ
宛もなくただ同じような日々をさまよう
それだけで過ぎてゆく時間
旅人よ 君がいつか見ていた夢は無残に終わったんだろう
次の夢を探さなくていいのかい? もう僕にはあの夢しかなかったから
旅人はもう帰らない
夢も持ち帰れない
さよなら 見えない雨に濡れながら
僕はまた日々をさまよう 旅人になる
日が暮れても何も変わらないさ
見えてる風景も目をそらしてる現実もすべてありのまま僕をにらみつけてる
目の前の現実と向き合えない旅人は次なる目的地を示す地図を失った。