詩人:どるとる
ただ僕はこの夜に夜とだけ名づけよう
ほかの題名なんか似合わないさ
夜は夜だから
夜でしかないから
たった一度の切ない夜なんか本当はない
ずっと切ないから
いつでも切ない夜でいつの間にか当たり前になった切ない夜
隠してること
秘めていること
人に話したいけれど話せないこと
いつもいつでも
夜が来れば
同じことばかり
考えてるんだ
夜の雰囲気にのみこまれたら
なぜか昼間とは違う独特のさびしさや切なさがため息になって ついには涙になってこぼれる
夜のわずかな隙間に助けを呼ぼうと意味もなく手を伸ばした
やさしく握ってくれるあたたかい手は差し出されなかった
そんな夜がこの先もいくつでもいくつでも繰り返されることがわかってても
なお生きようとするのはなぜなんだろう
わからないけれど
生きていきたい…
死にたくなんてない…
心の中にある安定をとるブランコが小刻みにゆれている
窓をひらいて そこから見える景色に瞳輝かせていた幼き日の僕はもういないけれど
僕はまだこの景色を綺麗と思える心捨てたわけじゃないから
だからこそこの夜を僕は特別な名前をつけずただ夜と呼ぶのさ
どんな夜でも夜は夜だから
そんな夜に僕はひとり悲しさの中でもひとりきりでも闇の中確かに輝く小さな希望の光 見つけた
こんなに暗いのに
見えないはずの光が僕の頭上で
この夜は僕を悲しませるだけにとどまらず憎らしい計らいで喜びまでも用意してた
ただ僕はこの夜に夜とだけ名づけよう
ほかの題名なんか似合わないさ
夜は夜だから
夜でしかないから
夜のわずかな隙間に助けを呼ぼうと意味もなく手を伸ばした
やさしく握ってくれるあたたかい手は差し出されなかった
そんな夜がこの先も…
心の中にある光と影のふたつの人格が僕の運命を取り合う
ただ、そんな夜だから
「夜」としか言いようがないのさ。