詩人:甘味亭 真朱麻呂
重なる手と手
揺れる午後の日差し
少しばかり甘すぎるカップに注いだミルクティー
相変わらずの日々を
暮らしている僕と
押入の中で埃を被っている
宝物だったはずのフォークギター
窓の外で聴こえる
電車が線路を走り去る音
カラスが鳴いている
久しぶりに手にとって弾いてみた
悲しげなギターの音色
なくしたもの
なくしたヒト
なくした何か
それがなにか思い出せない
記憶の扉無理やりこじ開けようとしたけど…
重なる声と声
ハミングするお別れの言葉
「また明日ね…」
手を振りながら夕陽の向こう
小さくなるあなたを見ていた
上出来だと想っていたはずのうたは
勝手な思いこみと自信過剰な出来損ないのラブソング
それでも口ずさむ
俺がつくったラブソング
出来損ないのラブソング。