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詩人:どるとる
アメリカ訛りの若者が
車で旅をする 映画の中に自由があったとさ
僕らは煙草をふかしながら
酒さえ飲めれば上等で
金もない僕らには月に一度の贅沢が世界のすべてだった
カントリーソングを意味もわからず
聞き齧った 日々は 今や遠い昔話で
こんな毎日に嫌気がさして
クラスの一人が自殺未遂をした
僕は 相変わらず無粋でヤった話ばかりしてた
この街で一番高い屋上にのぼって
僕はまっ逆さまに落ちて ザクロ
悲しい出来事が あれば死ねるのに
悲しいことに 喜ばしいことに
死にたいと思うまでの出来事には
まだ出会っていないのがこれ幸い
嘘つき議員の ほら話にも 正義はある けれどあまりに一方的
大好きだった あのシンガーも 薬に溺れて ダメになったよ
あんなにいい歌を書くのに 闇を抱えすぎたんだろう
世界中の 理不尽や暴力を見て見ぬふりをするのは
知ってしまうときっと気がふれてしまうから
だから僕も また知らんぷりをする
救えないくらいなら優しさなんて捨ててやる
螺旋状に 続いてる歴史の上に 死にたいと思った今日の僕を
そっと 覚えておくよ
いつか本当に死にたくなったときの 言い訳にするために
世界はそれまでこの僕の存在を 否定し続けるだろう
金のあるなしで 価値が決まるような
そんな世の中に生まれてきた自分を
一番 底辺に追いやってるのは他でもない僕自身だ
この街で一番高い屋上にのぼって
僕はまっ逆さまに落ちて ザクロ
悲しい出来事が あれば死ねるのに
悲しいことに 喜ばしいことに
死にたいと思うまでの出来事には
まだ出会っていないのがこれ幸い。