詩人:千波 一也
鈴のねむりを風はまもり
ときは
ときさえ
だまして過ぎて
いたずらに揺れて、
きまぐれに泣いて、
鳴らされている
はかない鏡
雨を飲み干すことで
おぼえ続けてきたものを
ほのおがゆるすはずもない
たやすいことほど
むずかしいものなら
ひとつも為しえず果ててしまう
野原に舟を浮かべたら
たじろぐ弓矢に
さかずきを
こおれる川に月夜を沈めて
戸惑うけものを
かんむりに
髪は
髪からうまれて
もっとも髪をうとむ爪
それは、呼び続ける罠
罪なればこそ暗闇は満ちて
やがては笑みに
晴れ間が集う
あやしくも
したがうあかりを
まずは目に
ふさがぬうちなら
耳にも手にも
口先にも