詩人:どるとる
まわる車輪
たった数回のブレーキ
自転車で追い越したよ
いくつもの季節
春も夏も秋も
そして冬もきっと
追い越すのさ
自転車で 追い越したいのはそれだけじゃないさ
君に伝えられない弱い自分も追い越したいんだよ
自転車のタイヤの擦れる音がきこえたなら
目的地はもう目の前
スピード落として
さあ 停めよう
シャウト・イン・マイホーム
ちょうど夕陽が沈んでくよ
まるで待っててくれたように僕の瞳の中でオレンジ色の空がだんだん夜に街ものみこまれてゆく
今日はそしたら終わり
自転車通勤
本日もごくろう
自分に敬礼したりして
バカじゃないかなと思うほど熱くなるのは本当の気持ちだから
涙でにじむ空がゆっくりとまばたきするように暗闇に包まれてもなぜか悲しくならなかった
多少の切なさは勘弁しよう
なんてえらそうな僕を残して空は一足早く眠りについた
誰もいなくなったとき涙は 暗闇の中で流すんだ
自転車で駆け抜けた季節は思うよりずっと心にこたえた。