詩人:千波 一也
隙間をあやすように
いたみのたぐいも
たぐり寄せる、
ゆび
からくりかも知れない、
そんなたとえのむなしさに
あらがうことを捨てたとしたら
だれかの日記を
風はめくるだろうか
通うこと、
ただそれだけが季節のしるし
あそびの裾はめぐる水
誘われてさらわれて
濡らされて
漂わせ
いやしはいつも静かにくずれる
ゆるやかにちぎれる、
約束のとき
果実のための果実はどこに
もてあそばれる鉄を
ささえる皮膚は
あまりに脆く
涙から、
なみだから遠い国は
見つからない
それでいい
弔いははじめから
枯れてしまうなかに在るのだろう
見渡せば、
よくよくながれて
すべてはすべてを待ち
焦がれている