詩人:どるとる
裏路地を吹き抜ける風の名前を
どこかで 覚えてるのはなぜだろう
輪郭だけを 記憶しているんだろう
ふれたときの感触が残ってるんだろう
たとえば 誰かの手のやわらかな
月のような 丸みを帯びた滑らかさを
水面に イメージが船のように浮かぶよ
そんなに波のない海をゆうゆうと進むよ
そのまま夜明けまで漕いで 雲隠れ
白黒のデッサン 昔のテレビみたい
コロネみたいなお下げ髪が 揺れるよ
道を外れて 地図を持たずに 遭難です
デタラメな 線をどこまでも伸ばして
あとは気ままな 心が矢印になって
雲のあしあとを 追いかけるよ
きっとその先にあるんだ
ずっと 追いかけてたすべてが。