詩人:弘哉
ただ今という瞬間におこる幸せが
崩れる危険性を常に孕んでいる不安
石橋を叩き壊してから
「ああやっぱり危険だったんだ」って
そんな意味のない繰り返しで生きている
どうしようもない心配症は
自分の心の内にだけしまって
他人には馬鹿みたいに明るい自分を振りまいて
そうして誰かから好かれようとするだけ
二面性とかそんなかわいらしいものじゃない
本当か嘘かなんて自分にさえわからない
偽りの自分とか
真実の自分とか
見せかけに内面に偽善に真意
典型的な「自分は特別」思想でかためて
得意ぶって特異ぶって
そしてそんな自分に不安になって
何を得たかったのか
何も得たくなかったのだろう
変わらない自分に安心して
変われない自分に苛立って
見せかけだけは明るくなった
人と「同じ」になって
浮かないように振舞って
自分をなくさないように「内面」を作って
どこまでが境界かわからなくなった
この感情が不安なのかさえ
やっぱりわからないままで