詩人:千波 一也
おおきなカバンはいらない
なるべくなら
手ぶらが
いい
気の向くままに街を
ゆかいなものに
流れるものに
みじかく綺麗にあいさつをして
気の向くままにときを
吸いこんだなら
はなすだけ
そうしたら
未完のスケッチブックが
またひとつ喜ぶから
あしたのわたしは
きのうと違う
いまから
始まる
宛てる誰かをさがせなくても
いそがなければ
たよりは届く
やすやすとは
破かれない紙であるために
約束をまもること
上手にはなして
見つからない日々が
見つかるのなら
それは明るさ
かならず光
いつまでも遠い道のりが
完成の枠組みなのかも知れないね
もとめる先を決めつけないで
はなしたぶんだけ
浴びてゆく