詩人:どるとる
痛みは 残るだろう 傷痕の消えた 道の上にも
忘れなきゃと願うたび 鳴き声がする
寂しさは昼飯同様 一人ぶん
お茶碗 ひとつですんでしまう
ああ この寂しさは いつから 僕だけのものに また 変わったのだろう
美しいものは 美しいままに 消えたのに
老いた姿も 写せぬままに 見かけ倒しの幸せ
声も出さずに 泣いた夜
覚えているのは 最後の口づけ冷ややかに
罪悪の種類で 選ぶなら僕に裁きは下るだろうか
満ち足りた時間に 突然訪れたエピローグ
名付けるならば ひどく単純なもので
いくつもの言葉を知っている筈なのに
ああ この 喜びは いつからこんなに味気なくなったのだろう
世界には 何度でも君がいなくても 朝は来るのに
もう何が幸せなのかも 今では判別がつかない
やめたはずの煙草を吸う夜
すがれるものならなんだっていいんだ
押し寄せる 波が 止まって見える
街も人も まるでスローモーションさ
心も体も仕事をしようとしない
美しいものは 美しいままに 消えたのに
老いた姿も 写せぬままに 見かけ倒しの幸せ
声も出さずに 泣いた夜
覚えているのは 最後の口づけ冷ややかに
レコードの針を落とす 指先に
見覚えがある いつかの面影夢に見る
ありし日の ビューティフルデイ
それでも物語は先を急ぐように続いてく。