詩人:千波 一也
それは髪ではなかった
すがりつけない言葉でも
寄りかかり続けた、
矛盾
まもるわけでもなかった壁が
ひび割れようとしていることに
わけもなく怯えて
臨月は、皮肉
あまりにも目を避けたから
あこがれて
落ちた、のかも知れない
潔白に、化石
放れるものはたくらみに長けすぎて
泣きたいきもちは
剥がされてゆく
拒んだなにかを埋め合わせるために
いのちを含んでは
さびしがる性
巻きつけた夜の深さを首にともして
毒牙はあてもなく逃げ惑う
みずからを狂わせて
やさしさはかけら、
握りしめている
かけら
歴史の、凝固
いつか髪ではなくなった眼光に
告げる言葉をまだ知らない
すくえなければ
すくわれないから
呪文を、漂流
一途な、
緊縛