詩人:どるとる
どしゃ降り雨が 窓ガラスを濡らして
今最終電車が 疲れた体を運んでゆく
ドアがゆっくりと開いて
薄明かるい ホームにたどり着いたら
あんなに降っていた雨も
すっかり降りやんで大きなお月さまが 空にのぼってる
なんとなく 早足になる なぜだろう
急ぐ理由なんか探しても見つからないのに
あなたの おかえりなさいが聞きたくて たまらないんだよ
最近は何もいいことはひとつもない
涙ばかり流しているような気がする
肩落として うつむいて歩いていたら
いつの間にか笑いかたを忘れてしまう
ちょっと寄り道した公園
ブランコに乗って いい年したおじさんが黄昏てる
夕暮れの 道に吐き出された陽射しは
ため息のようにどこか寂しげな色をしている
用もないのに あなたの笑顔を見たくて たまらないんだよ
探し続けてた幸せのありかは
きっとこのまま見つからないままでいい
だって 幸せはここにあるって わかるから
なんとなく 早足になる なぜだろう
急ぐ理由なんか探しても見つからないのに
あなたの おかえりなさいが聞きたくて たまらないんだよ。