詩人:どるとる
家族や恋人が 手をつないで歩いてる
そんな微笑ましい場面に出会すたび僕は思う
つながれた手は まるで結び目だ
強く優しく 程よい力加減で
ただつながれているだけにとどまらず
リボンを結ぶように繊細に形を成してる
愛とか恋とかじゃなくても
人が人を思うところに その結び目が人の数だけ 見える
僕も 誰かと繋がっていて
いつも 誰かと繋がっていたい
だから 手を伸ばす先にあるあなたの手に
愛されることを拒むようならふれあうだけでも
いつも、心が見えるような
ぬくもりを目当てに手をつなごう
洗濯物を干したり 畳んだり
まな板の上 野菜を刻んだり 洗い物をする手を 知ってる
子供を抱きしめる 手と同じ手で 毎日仕事をしてる
小さかった手が 少しずつ 大きくなって
それにしたがって手も逞しくなって
帰り道に見つけた夜空の向こうに 星がひとつ 流れた
幸せは そんな小さな でもたしかなもの
僕と君を繋げているものが
君と僕を繋げているんだなあ
だから 迷ったときに握りしめる手は ひとつだけ
探さなくても そばにあるあなたの手
その手にだけある 知られざる物語を読むように 手をつなぐよ
悲しみに涙を流した日や
喜びに 笑顔うかべた日を
思いながら 忘れながら
日々はなんとなく過ぎていく
いつの間にか 歳をとる
気づけばいくつもの季節を
迎えては見送って
また ひとつ 春を通り過ぎようとしている
君と同じ歩幅 君と同じ目線
同じように並んで 同じ風と空に 包まれて
僕も 誰かと繋がっていて
いつも 誰かと繋がっていたい
だから 手を伸ばす先にあるあなたの手に
愛されることを拒むようならふれあうだけでも
いつも、心が見えるような
ぬくもりを目当てに手をつなごう
つなぐだけで そのたびに違う君に出会える
そんな 景色が見えたらいいな。