詩人:どるとる
ただありふれた 毎日の中にある
他愛もない営みに寄り添う影が
たとえば あなたを思う愛なら
遠くから送られる眼差しは
海を照らす灯台のように
あなたの幸せだけを祈る 燈(ともしび)
忘れないで いつかもらった愛を
どんなに時が過ぎ去っても
遠い時間のあいだに別れてしまっても
あなたがもらったその愛は
あなたが幸せになるための
お金より何より価値のある財産
それをかなぐり捨てるなら
あなたには多分幸せになることなどできはしないから
いつでも 思い出して いつだって
あなたの手を離さなかった温かい手を
心では わかってるのにいかんせん
素直になれずにまたそっぽ向いて
意味もなく 強がって 悪ぶるけど
似合わない言葉が君を傷つける
空を渡る 雲のように 行く宛のない旅に出る思い出と一緒に
浮かんでは消える あなたとの日々を
何一つ忘れたくはないのに
時々 忙しさにあなたを思う暇もないまま
ふいに 思い出したあなたの笑顔を
慌てて 忘れないように 抱き寄せる
本当に大切なものは いつだって
失うことなんかないんだって気がした
こうして瞼閉じれば イメージの向こうに浮かぶ あなたのあの優しい背中
思い出すたび 少しずつ色褪せていく
それは 仕方ないよ
あなたとがいる毎日が まるで 当たり前みたいに思ってた
あなたのいない 部屋を見渡して気づいた
あなた一人 いないだけなのに
なぜだろう それ以上の寂しさがある
今さら あなたの存在の 大きさに面食らったようになる
あなたがもらったその愛は
あなたが幸せになるための
お金より何より価値のある財産
それをかなぐり捨てるなら
あなたには多分幸せになることなどできはしないから
いつでも 思い出して いつだって
あなたの手を離さなかった温かい手を
あなたが残してくれたたくさんの思い出を。