詩人:千波 一也
自然ななりゆきに
透きとおるため
染まり尽くして
澄まないかなしみを住み慣れた手に
いかにも軽く鍵は転がり
避けながら、呼ぶ
まばゆい
ひかり
情熱の火をはずかしめた日は
こおりを伝わりよみがえる
あざわらう蝶の紋様が
きらり、と見えたら
淡いよる
おごそかな渦潮は
いろを混ぜて
とけて、
また
よろこびというものを憶えたら
傷つくことに錆びついてゆく
それは酔いだね
たやすく今宵もしなだれて、
アルコールの渇きに
うるおいを
放り
言うまでもなく、
痛むことでなお痛むから
どこまでも行っても檻はある
愛する者の名は硝子に揺れて
割れたとしても響きは美麗
ごくごく自然ななりゆきに
かぼそい指が
のどを、
飲む