詩人:どるとる
遠ざかる景色に僕は手を振って
さよならのバスに乗ってさよならするのさ
はじまったと思った物語はもう終わり
花びらがこぼれるように時間といっしょに涙が落ちた
静かなバスの中で
通り過ぎる景色を見ていた
そのどれもが素晴らしい景色で思わず全て抱きしめたくなった
何かの映画の最後のシーンみたいに幸せな演出などなにもないけど嫌いではないラスト
さよなら 僕はもう戻らない 舞い落ちる枯れ葉のようなこの時間だけれど忘れない
さよなら また今日の日を思い出すときはもう少し大人になってから思い出そう
雲がちぎれるように
切なく儚く消えていく
楽しいことは過ぎるのが早くて悲しくなるけれど僕はそれでも笑って手を振るよ
ありがとう
こんな気持ち
そして僕は昨日が見えなくなったとき
窓を閉めて 手を引っ込めた
さよなら…さよなら楽しかったよ
ありがとう
僕は忘れない
今日の日のさよならを
明日もまたさよならするけど
今日は今日のさよなら
明日は明日のさよならだから
今日にはもう会えない
遠ざかる景色も僕に手を振って
バスは予定通り
僕を連れ去る
さよならも求めずに
風にさらわれていく季節に僕は目をつむった
見て見ぬふりをしてるわけじゃないけど
なんだか 通り過ぎるその定めをゆるせたのさ。