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[175669] 薄紅色の雨が降る季節に

詩人:中村真生子


幼子は

花びらを集めていた。

ビニール袋いっぱいに。

「何をするの?」と聞くと

「ぱあっとする」のだという。

おばあちゃんの手と

ビニール袋を握りしめて

よちよちと山の上の方に登っていった。

きっといちばん高いところで

ぱあっとするのだろう。

桜にそんな楽しみがあることを

幼子に教えてもらう。

咲き誇る桜だけでなく

散った桜にも

楽しみがあるのだよと…。

ずっと面白い

楽しみがあるのだよと…。

1年に1度

薄紅色の雨が降る季節に。

あの子の小さな手からも

薄紅色の優しい雨。




2012/04/13 (Fri)
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