詩人:どるとる
夕暮れで少し淡くなった色彩が悲しみに暮れる僕を包む
この街で生まれこの街で死んでゆく僕にははじまりの街と同時に終わりの街でもあるのさ
光が見えたときもあったけれど
闇を見てしまったときもあった
そんな街に名前をつけるとしたらばら色の街とはつけられないから
黒でもなく白でもないその中間の灰色の街と名づけたい
本当はそんなのイヤだけどその名前がぴったりになってしまったんだ
呼ぶ声はいつも
小さくって
踏み出す一歩もとても
小さくって
泣いてしまうのさ
心に降る雨はやまないものなのかなって思ってしまうほどずっとやまないよ
この悲しみ
なんとなく生きてみても悲しいだけだ
それとなく会話を合わしてもむなしいだけだ
本当の気持ちと心で話したり向き合えない大人たちの蟻塚のような社会で生きるのは僕にはどうやら
似合わないらしいんだ
今日もひとり 窓際の冷たい壁に寄りかかって月明かりをわざと避ける僕なのさ
こんなにひねくれさせるのはなんなんだろう
夕陽が今まさに落ちていく ゆっくり消えていく街の明かり
そしてふたたびつくのは人工の明かり
まるで白熱灯みたい
そのゆっくりさが切なさを感じさせるから
愛おしいもの
憎らしいもの
それはいつも
いつまででも
同着なんだろうな
どちらがどちらかを
抜かすこともなく
どちらも同じくらいの大きさで僕を包む
こんな街に名前をつけるとしたらばら色の街とはつけたくないから
黒でもなく白でもないその中間の灰色の街と名づけたい
本当はそんなのイヤだけどその名前がぴったりになってしまったんだ
灰色の街 いつからそうなったの?
変わり果てた故郷よ
もう あの時の鮮やかな色には戻れないの?
僕が悲しみに暮れているから僕の瞳の中で街は灰色に変色したんだ
雨はやまないし
何もいいことないし
やたらむなしいし
矛盾だらけだし…。