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[191352] 影踏み

詩人:どるとる


言葉はこんなとき 役に立たないなあ
子供のとき信じてた魔法もないと
知った僕たちは頼るものをなくした

切り張りのちんけな出来損ないの
箱庭で日が暮れるまで遊んだ
ほどけそうな手と手が離れた刹那

吐息で結んだ蝶々 ひらひらと
陽射しの中 舞うように飛んでいく

校舎の日は落ちて影がぐっと狭くなる
手のひらに残された小さな明日の種

もしもそれが希望になるのならば
手をあわせ祈るよ どうか君のぶんまで笑えますように

永遠のない 世界で永遠を願った僕たちは
まだ右も左もわからない子供で
世の中に正しさ以外の概念はなかった

アスファルトを打つ雨 削らんばかりに
はげしいどしゃ降りが 夜明けには止んだ
流されずに残ったものだけで満たされて

けんけんぱで飛び越した ヒストリー
ガードレールの向こうに消えてく陽炎

なんの関連性もないや それでも何かで
つながっていたいんだよ 昨日の君と

もう二度と会えないとわかってるのに
いつまでも君の影を踏んだままのわるい足

日向と日陰の間を縫うように歩いた
君は僕を突き放してどこまでも 行ってしまう
今ではそれが 見えないくらい 遠くにあるだけなのに
手を伸ばしても ふれられない幻だ

吐息で結んだ蝶々 ひらひらと
陽射しの中 舞うように飛んでいく

校舎の日は落ちて影がぐっと狭くなる
手のひらに残された小さな明日の種

もしもそれが希望になるのならば
手をあわせ祈るよ どうか君のぶんまで笑えますように。

2016/04/10 (Sun)
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