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[191380] 花火

詩人:どるとる


子供の頃に読んだ 図鑑の中にあった
星の名前と形を覚えた
今ではそんなことは記憶の底に沈んで思い出すこともないや

手にしただけの知識で賢くなった
でも本当に知りたいことだけは
いつも空欄のままなんだ

夜空の遠くに打ち上がる夏の日の
色とりどりの花火がただの火薬でも

正体なんてきっとどうでもいい
僕らはその美しさに見惚れてるんだ

夜空に大輪の花がパッと咲く
今だけは素直になれそうな気がする

好きな気持ちを言葉にすること
単純なことなのに難しい
どうしても自分に自信が持てなくて畏まってしまうよ

他の人にはない自分だけの特別を
僕は持っているだろうか
目を閉じて考えているんだ

喧騒の中を 縫うように歩く
君の手を引いて 人混みをかいくぐる

やっと人混みを抜けると手を離した
言葉はなくても 言いたいことがわかる

幸せそうに君は笑っていた
ふいに最後の花火が上がる

首筋に伝う汗も 二人で分けあって
代わる代わる飲んだラムネも

容赦なく注がれる陽射しにぼやかされ
すべてが思い出になる

夜空の遠くに打ち上がる夏の日の
色とりどりの花火がただの火薬でも

正体なんてきっとどうでもいい
僕らはその美しさに見惚れてるんだ

夜空に大輪の花がパッと咲く
今だけは素直になれそうな気がする

好きと言えないかわりに
小さく 笑って見せたよ。

2016/04/12 (Tue)
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