詩人:どるとる
ページをめくって指先で操るように
物語のあらすじをたどってゆく
活字の 海を疲れ果てるまで泳いだら
岸に這い上がって本を仕舞う
時計は 言葉を知らないから
命の大切さを教えてくれない
だから痛みを持って 知るんだよ
突き刺さるように雨が 空から降って
僕に残された一分一秒を 水に流してゆく
気づけばもう半分近くを切っている
空白のページに 記されてゆく足跡
その先へ 物語をつなげてゆく
万年筆で 原稿にインクをにじませて
小説家が空想の 物語を 綴ってく
悲しみも作り物なら涙も偽物だ
だけど血潮さえ生々しい世界だ
引き出しにしまったままの陽射し
見て見ぬふりしてる誰かの死
真夏日のデイドリーム
刻々と流れてく百年にも渡る時間
最後は泡のように消えてしまうのに
人は形あるものを手にしたがるよ
ふとふれたときの 温もりに溺れたい
重ねたその手に未来を見ているんだ
少しずつ なくしてゆく 若さだったり
衰えてゆく 物覚え
挙げたらきりがない
それより 残されたものを 覚えていたい
明日世界が 終わるとしても あなたが
笑ってくれるなら僕はそれでいい
そう思うこの気持ちが僕の今のすべて
突き刺さるように雨が 空から降って
僕に残された一分一秒を 水に流してゆく
気づけばもう半分近くを切っている
空白のページに 記されてゆく足跡
その先へ 物語をつなげてゆく
いつか到達するであろう明日まで
捲る アナザーページ。