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[191412] 花火

詩人:どるとる


浴衣を着付けてもらったの そう言う君に
付き合わされて 祭りに 行った数年前の夏の夜
あまり人混みが 好きじゃないけれど
君の言葉にはなぜか 断れずに了承した

ほら見たことか 思った通り 人でごった返していた

神社の長い階段下の 夜店で 綿菓子を 頬張り笑う君に むくれてた

これ見よがしな 僕の 態度に 少しも苛立つこともなく
隣にいて笑ってくれる

多分僕は君のそんなとこに惹かれたんだろうなあ
そんなこと考えながら 歩いてる

呼び掛けた僕の声に振り返る君の背中に
最後の花火が 打ち上がるよ
夏の終わりを そっと 飾るように

三日に渡って 続いてる夏祭りの最終日
今日も 行こうって誘われて 出掛けた

君のうなじにあたりに 夏を見た
ただでさえ 暑いのに夏はさらに暑く半袖になってもまだ暑い

僕の半袖姿に あなたも浴衣着てくれば
よかったのになんて今度は君がむくれた

ほほに作った小さなかわいい 膨らみを指で押してつぶした

ただ一緒にいるだけで 楽しいのに
それ以上何もしてあげられない
自分があまりにちっぽけだ

でも 君はこんな僕さえ笑って
受け入れてくれるから それがまた申し訳ない

たくさんの人の中ではぐれそうな手を
必死になってつないで 君と歩いたね
ガヤガヤとした雰囲気の中 僕は君に気持ちを 打ち明けた

聞こえたかなあ 聞こえなかったかなあ
返事はすぐに わかったよ

少し離れたところから君は僕に
駆け寄って 少し泣きながら
僕を抱きしめた いまだ忘れられない
温もりと香りが瞬時にはじけた

これ見よがしな 僕の 態度に 少しも苛立つこともなく
隣にいて笑ってくれる

多分僕は君のそんなとこに惹かれたんだろうなあ
そんなこと考えながら 歩いてる

呼び掛けた僕の声に振り返る君の背中に最後の花火が 打ち上がるよ
夏の思い出を締めくくるように。

2016/04/16 (Sat)
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