詩人:どるとる
数センチの間をあけて歩く歩道に
わざと置き忘れられたように
花びらがたくさん落ちている
春がまだ少し夏にはまだ早いよと言うように
その一歩から どこまで行けるだろう
僕らはただ一歩一歩つないでゆく 気の遠くなるような地道な努力 つつましやかな頑張り
春はもうじきこの街をあとにして
桜も来年までもう見られないね
あんなに 寒かったはずの街も もう
薄いシャツ一枚で 歩けるよ
足跡は 続いてゆく僕らが歩いた道に
これは誰の足跡だろう 思いの外、真新しい
宛のない想像は 真っ白な画用紙に
夢を描いて 間違わないように
引いたレールの上をたどってゆく
たまには 無謀にもなるさ 狡さも必要 優しくなんかないよ
これが物語なら ページをめくるたび
あらすじ通りの結末を目指すのに
どうやら僕らの毎日には そんな便利な近道は ないようで
だから途方に暮れてしまう
ポケットにしまったままの夢
なくしたことにして見ないふりしてる
こっそり 取り出して眺めては
涙なんか流したりしてる僕がいる
風はどこに 吹いてゆく 足跡も残さずに
見上げた空に 星がひとつ 願いは届くかな
離れたり 近づいたりする歩幅
強がるふりして 寂しがる
隠した 涙は正直で気づけば
素直になって 君の姿を探してる
名前を呼んだりしたら 来てくれるかな
頼りなくて丸まった背中をさらに丸ませて
春はもうじきこの街をあとにして
桜も来年までもう見られないね
あんなに 寒かったはずの街も もう
薄いシャツ一枚で 歩けるよ
足跡は 続いてゆく僕らが歩いた道に
これは誰の足跡だろう 思いの外、真新しい。