詩人:どるとる
空から落ちてきた 雨の一粒を
上手に 手のひらにのせてもてあそぶ
手を離した瞬間に ほどけてゆく温もりが
新しい物語を求めて明日に駆け出してく
スプーン一杯ぶんの退屈を 飽きるまで
堪能したあとに 押し寄せる浅い微睡みを
つまらない ため息で終わらせないで
せめてこの命尽きるまで消えないロマンスになれ
シュガーとソルトふりかけて
スポンジの上に降らせるメレンゲの雨
めまいを起こしそうな まばゆい光
頭の中まで極彩色に埋め尽くされてゆく
スプーン一杯ぶんの退屈を 飽きるまで
堪能したあとに 押し寄せる浅い微睡みを
つまらない ため息で終わらせないで
せめてこの命尽きるまで消えないロマンスになれ
悲しみを覆い隠してしまえ。