詩人:どるとる
歩道橋の上 お母さんと娘さんかな
今にも沈みそうな夕日眺めながら
幸せそうに笑いながら何か話をしてる
多分娘さんは今晩の献立を聞いて
お母さんがこたえているんだろう
嫌いな野菜も食べるのよなんて 言ってるのかな
夕暮れの町は 誰かの帰りを待っているかな
商店街の一個80円のコロッケ
ひとつ買って 食べながら帰ろう
夕暮れの町は みんなの帰りを待っているんだ
普段は言えない素直な気持ち ただいまに込めて言ってみよう
カラスも 帰るから僕も帰ろう
さよなら 手を振り別れる帰り道
だんだん遠くなる背中が消えてゆく
見えなくなるまで手を振っていた
夜の空に 星がひとつ 輝いて
水銀灯の明かりの下で少し泣いた
夕暮れの町は すっかり夜に包まれて
開けた窓から 吹き込む夜風が
優しく髪を撫でてくれる
夕暮れの町で 見た赤い夕日がまだまぶたの奥
焼き付いている ゴハンよと僕を呼ぶあたたかな声がする。