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[191558] プラネタリウム

詩人:どるとる


昔、父と来た 科学館のプラネタリウム
きれいな 星空が壁に映し出す 大宇宙

アナウンスが 教えてくれることは
あまりわからなかったけど

星の光は 僕の胸に届いていたよ
思い出の宝箱に しまった大切な 名場面

シャッターを 切って 閉じ込める
かけがえのない瞬間 消えないように

本物の夜空には きっと勝てないけれど
僕にとっての宇宙はここにあるよ

胸の真ん中 指差して 笑う幼い少年が
僕の中にまだ 消えず残っているから

大人になって子供ができて 子供を
連れてきたよ あの日と同じ科学館

息子は 笑いながら楽しそうにしてた
見上げた宇宙は少しだけ 近くなってた

それでも まだ 天井までは届かない
僕の高い背丈でも まだまだ遠い大宇宙

あの日見たときより 大分くたびれてた
古いから子供だましだけど

僕の中に ある思い出が静かによみがえる
再び広がる イメージの中にある 星空

ほらあれがベガだよ あれが アルタイル
僕の中の僕が 一つ一つ教えている

父の 残した数少ない思い出が
今、波になって押し寄せて

僕の瞳から 涙が 溢れ出すよ
なぜだろう 悲しくもないのにね

子供が言うんだ 「お父さんなんで泣いてるの?」僕はただ笑ってた

シャッターを 切って 閉じ込める
かけがえのない瞬間 消えないように

本物の夜空には きっと勝てないけれど
僕にとっての宇宙はここにあるよ

胸の真ん中 指差して 笑う幼い少年が
僕の中にまだ 消えず残っているから

思い出はいつまでも 瞼閉じれば何よりも素敵なプラネタリウムを 広げるから。

2016/04/30 (Sat)
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