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[191559] 東京

詩人:どるとる


日が傾きかけた 駅前は夕日に照らされ

足元の影が 背伸びするように 伸びた

つないだ手の温もりと 交わした言葉

隙間を埋めるように距離を縮めてく

離れないように でも近づき過ぎないように

遠くもなく 近くもない程よい距離から

あなたを見ている たくましいあなたの背中

どこか憂いを帯びたあなたの 横顔

たまに見せる弱さ そのための強がり

意地っ張りでも やっぱり一人は寂しい

あなたは 悲しいときほど私に背を向ける

だから そんなときだけ距離をぐっと 縮めるの

手をつなぐ口実に するみたいに
私の寂しさも あなたに埋めてもらうわ

東京に生まれ 早、数十年 まだひとりで
立てるほど 立派じゃないけれど

愛する人がいる 愛されたい人もいる

それが同じ人なのが私には今は嬉しい

思い出が ひとつまたひとつ 増えてく

日記帳に スケジュールが刻まれていくように

あんなことがしたい こんな場所に行きたい

人を愛するようになって随分欲張りになったわ

こんな私は嫌われるかな でも腹八分目よ

適当なところで 箸を置くわ 太らないように

そして本当に輝くものだけを 思い出と呼ぶの

少し儚げな 4月の終わり 空はまだ

夏というには早く でも春というには 遅い

風には春の名残が 街のあちこちに

その足跡を 残している ほら萎れた花びらが
ベランダに 落ちている

遠くもなく 近くもない程よい距離から

あなたを見ている たくましいあなたの背中

どこか憂いを帯びたあなたの 横顔

たまに見せる弱さ そのための強がり

意地っ張りでも やっぱり一人は寂しい

あなたは 悲しいときほど私に背を向ける

だから そんなときだけ距離をぐっと 縮めるの

私が あなたに必要だってことわからせるように

誰でもなく私があなたの隣を歩くの。

2016/04/30 (Sat)
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