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[191595] 蜘蛛の巣

詩人:どるとる


少しだけ生ぬるい風が 目の前を通る
諦めた人が乗る 無難な電車には用はないよ

優しさの意味を 教えてくれたのは君だ
でも僕はいつの間にか
生まれたときから 人を愛することを
教わった訳でもなく知っていたんだ

ただ好きだよって抱きしめるだけで
ぬくもりは確かに伝わってゆくのに

一番伝えたい気持ちが言葉にならない
だから 肝心なとこで黙ってしまう恋だ

4月もとうに過ぎ 5月を迎えた街に
懐かしい暑さが 手紙のように届いた

計算できることだけで出した答えは
きっと イコールより先には 行けないから
はみ出したくらいが実はちょうど良くて
だから、たまのすれ違いもまた美味だ

愛の意味さえもまともにわからないまま
一緒にいるだけでいいという君の思いに

ますます僕は愛がわからなくなった
でもつないだ手のぬくもりはここにある

あやふやで曖昧な正体もわからない
化け物みたいな そいつの懐に
飛び込んでゆく 覚悟をそろそろつけなきゃなあ
だから、君の分まで痛みも背負うんだ

ただ好きだよって抱きしめるだけで
ぬくもりは確かに伝わってゆくのに

一番伝えたい気持ちが言葉にならない
だから 肝心なとこで黙ってしまう恋だ。

2016/05/05 (Thu)
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