詩人:どるとる
最終電車に あわてて乗り込んだ真夜中
椅子の背もたれに 沈み込む 小さな身体
宛もない毎日 今なら簡単に
消えてしまえる 気がするんだ
こんな 間違った気持ちを
誰かに 叱ってほしい
沈めたはずの 悲しみが ふとした拍子に
頬を伝うもう涙を隠せないわ
涙をぬぐう優しい指を探しても
もう、失ったあとだ 帰らないぬくもり
潜水艦の丸い窓から見た 海中の景色
それによく似ている 見たことはないけど
時計で時刻を 確かめて ごまかした
眠くなるまで星を数えた夜も
疲れはてるまで 歩いたあの道も
つないだ手も 他愛ない会話も
あって当たり前だった
それが幸せだと気づけなかった私には
あなたを愛すことなんてできなかった
盗まれるように奪われたキスの味も
まだ微かに覚えてる唇に 記された思い出
刻まれた足跡をひとつひとつ
辿ってく いつかあなたに会える気がして
こんなに暗い真夜中でも見失わず
光を見つけることができるのに
あなたはここからは見えないわ
どこにいるの?不意に名前を呼んだ
沈めたはずの 悲しみが ふとした拍子に
頬を伝うもう涙を隠せないわ
涙をぬぐう優しい指を探しても
もう、失ったあとだ 帰らないぬくもり
いまださよならも言えないままだ。