詩人:どるとる
夏を抱きしめたような空が
青く広がる 畦道に揺れる逃げ水
見渡すかぎりの田畑
黄金の稲穂
台車には 山のような 玉蜀黍
絵日記に 描かれるのは 小さな指と果てのないイメージ
クレヨンで 思い出をあざやかに 記してゆく
花火をするなら 小さな明かりを
いくつも 咲かせる線香花火
その切なさは 夏の闇をそっと照らす
縁側にこぼれるたくさんの笑い声
また来年来なと 祖父が言うんだ
お婆ちゃんは ティッシュにくるんだお金を握らせた
ささやなかな幸せと残された 痛み
それは絵日記の向こうの夏。