詩人:はるか
覚えてるのは
あの日の桜
舞い散るという言葉が
よく似合う
花びらのあめ 雨
また雨
通る人々は
その幻惑に酔いしれて
急ぐ足元を緩めている
泣きながら
終わった恋を
ぶらさげて歩けば
自転車のうしろから
背中ごしに見えた
去年の桜が
よみがえる
恋した景色に
君がいたもんだから
どうやったって
視界から外せない
気持ちだけは
永遠に残るんだって
こんな形で
分かってしまって
なぐさめの言葉も
のみこんだ
紛れもない
君の面影を
消すには あと少し
早いようで
今は ただ
素直に綺麗だって
この桜雨に
慕ってあるくだけ
散りゆく恋に
精一杯のはなむけを
そして私が
全てを許せるように