詩人:千波 一也
よみがえる言葉を
踏みしめながら
いつの季節もささやかに鳴り
のびゆくはずが
逃げてゆけないものへと
落ち着いてしまった
あたらしく
おとを試して、
更なる空をおいもせず
結び目だけは
ていねいにしなさい、と
去りゆく風から
見つめられ
足音だけが沈みこんでゆく
それが、くれない
いつからが、つち
いつまでがつち
燃えるとするならば
両手はいかにも砂のいろ
きびしさに負けてしまうまで
孤独は、枯れて
いのりの数を
おだやかにそそぐ雨は
みがわりの
羽
無言のなかでも、
あきらめを棄てながら
他人を絡めるゆびさきの
目覚めとともに
森はある
たとえ閉じゆくさなかでも
さいごのおとには
だれかが
続く、
ふかき護りに