詩人:千波 一也
ふと気がつけば
後ろ手の冬
雪の匂いも薄らいで
それとは知らず
陽をまとい
季節は
追い越せないものだとばかり
待ち続けてきたけれど
いつの間にやら
景色は流れて
暦、三月
すぐにもそこに
足音が軽やかであるのなら
同じおもてで
名を呼ぼう
君から遠く離れても
鮮やかな香に
つぼみは
揺れて
透けてゆく胸から
願いは始まる
まだまだ広い
こころのうらで
不意の訪れ
やさしく
染めて
光、架橋
春風を凌ぐ
君の日につつまれて
桜、便箋
雪、飛脚
春風を凌ぐ
君に逢いたい
冬のひとひら夢見るように
2007/03/06 (Tue)