詩人:どるとる
遠い昔に聞いたおとぎ話の世界が
たとえば僕らのすぐそばにあるなら
今すぐこの世界を捨てて会いに行く
ずっと憧れていた朝の来ない世界
イメージで描いた翼じゃ空は飛べない
夜明け前の澄んだ空気に抱きしめられる
誰かが描いた世界に付け足すように
刻んだあらすじが一人歩きしてる
目の前に広がる世界は僕のものじゃない
手足のように自由には動かせないよ
だから あと少しなにかが足りないなあ
埋め合わせるための歌ならいらないよ
闇雲に走って たどり着く未来には
希望なんて笑ってしまうほど嘘臭くて
楽しいなんてことは思うこともなく
笑うことさえめずらしいことだ
誰かのためだけに刻まれる時間なんて
きっと 僕らの思い過ごしなんだろう
それほど、神様も優しくはないだろう
誰のためでもなく今日も夜は明けて
目覚ましがいつもの時間に僕を起こす
この世のすべてを手にした気分なのに
夢から覚めたように気づく現実
渡り鳥の群れを追う雲の健気さだとか
昨日見た夢の内容なんかには興味はない
走り出す 波を蹴散らして進む船の
白い帆を風が揺らして 遊んでる
幸せなら 花が咲いたような そんなささやかなものでいいはずだ
だから夜明けが来るまでに 決心をつけるよ
誰かが描いた世界に付け足すように
刻んだあらすじが一人歩きしてる
目の前に広がる世界は僕のものじゃない
手足のように自由には動かせないよ
だから あと少しなにかが足りないなあ
埋め合わせるための歌ならいらないよ
傷痕を隠すための優しさならいらないよ。