詩人:千波 一也
遠鳴りを
たずねてゆびは
更けてゆく
傾き、
あざむき、
なき、みさき、
橋の向こうを告げられぬまま
こころもとなく
火を浴びて
頑なに
待ち人の名を忘れてしまう
憂い、
ねぎらい、
幸い、つらい、
内でも外でも
織りなす檻うた
やがての白まで鋭くあふれて
重みは時流を
さすらって
もう、帰れない、
置き去りだった
なにもかも
その逆も
途絶えることなく
月読む風は氷を慕い
遙か、
焦がれる、
いまは、ただ、
なぞりに従い
影は背中を離れない
落ちたはじまり
そのままに
2007/03/08 (Thu)