詩人:千波 一也
まちがうことを
素直におそれた日々は
だれかのきれいな蝶々結びに
たやすく揺られる花だった
あの草原で
かぜを追いかけてゆくことに
不思議はどれほど
あっただろう
ためいき、ひとつこぼれる
あわてて
しあわせを吸い寄せる
そんな
不器用さのあることが
ひとつの花であるかもしれない、まだ
だけど、でも、
にがてなものに疲れた午後は
ひとりしずかにそらをみつける
いつものながれを
ごくしぜんな幾つものながれを
はじめから決まっていたことのように
呼びたくはない
空、などと
だから、みつける
なつの匂い
ふゆの匂い
なつかしく
いつの季節もめぐるなら
それはひとえに大きな、はる
あふれる花の
揺られるままの
あしもとに
転がるすべてが教えのかたち
すぐにもかぜは吹くけれど
それゆえ蝶々は
結ばれ続ける
ひらいて、きれいに、はばたいて、